I left my heart in SanFrancisco 3

こんなおとろしいところにいつまでもいられるわけがない。 早々にコーヒー代を支払い。親切なウェートレスさんにお礼を言って立ち去ろうとした時、ヘルスエンジェルスが言った「ねーちゃん、メキシカンの食べすぎは体にわるいぜ!」
小さなハンバーガーショップは、ヘルスエンジェルスどもの笑いの渦で揺れた。
顔から火がでるというのはこういう時にもっとも適切な表現である。
「あんたねぇ 余計なことまでしゃべらないでよ〜」
「だって、ほんとのことじゃん。それよりこわかったんだから〜。いつ身包みはがされるかとひやひやしたし、車取られるんじゃないかと思って気がきじゃなかったよ。 トイレ長いんだもん。」
(閉じ込められてたの!)と言いかけたとき、店に来たときは必死で気付かなかったけど、すごいバイク!
ピッカピカに磨かれたアメリカンスタイルのかっこいいバイクが数台目の前に整然と並んでいた。
「マッド マックス」のバッバガーロにみえたおにいさんたちは正真正銘の「ライダー」たちであったのである。
黒ビールだと思ったのは、ドクターペッパーとベプシコーラ。 「ライダー」にはお酒なんてもってのほかなのだ。
人をみかけで判断してはいけない。  アメリカはたしかにこわい人もたくさんいるけど、親切な人もいっぱいいる。
ひとりぼつんと心細そうにコーヒーを飲んでいた友達に気を使っていろいろ話しかけてくれたそうだ。
だからといって、激からサルサを食べすぎたの。マルガリータを飲みすぎたの。言わなくてもいいと思うんだけどね。
なんとか気を取り直し、一路 サンフランシスコ空港へ向かう。
航空会社のカウンターにいき、
「荷物届いてますかぁ」
「はい、こちらでございます。」
おお、見慣れた鮮やかなクリームイエローのわたしのスーツケースだ!
このスーツケースには、この紛失事件をはじめとする3つのエピソードがある。 あとの2つは後日語るとして、とにかくこれが最初だった。
「3日も待たされたあげく、サンノゼからわざわざサンフランシスコまで取りにきたんだからね〜。 まったく! 間違えといて謝罪の言葉もないの〜? 反省だけならサルでもできるんだよ〜!」 ここまで言ったかどうかは覚えていないけど、かなり文句をいったのを覚えている。あわよくば保証金でもとったろ〜かっというプチやくざの雰囲気である。
現にすでに保険会社と連絡をとってあり、ほんとうに見つからなかった場合は保証金がもらえることになっていたのである。
受け取りのサインも無事済ませ、スーツケースの取ってに手をかけた。 そこには2枚のタグがぶら下がっていた。
1つはこの旅行の前に行った香港行きのタグ、もう1つが今回のサンノゼ行きのタグだ。
「お客様、古いタグは必ず取り外してからお荷物をお預けくださいますようお願いいたします。 ま・ち・が・い・の元ですからっ!」 
悪夢さめやらず・・・